事務所だより 2025年7月号

お知らせ
近年の7月は梅雨末期の大雨と、梅雨明け後の猛暑が特徴的です。
今年は、明日あたりから西日本~東日本にかけて梅雨明けを思わせるような天候になると見込まれていますので、身体が暑さに適応するまで特に注意したいところです。

今年は、企業の熱中症対策が義務化された初年度にあたり、7月は「重点取組期間」とされており、特に業務中の熱中症予防や、熱中症発生時の対応について、万全な体制作りが望まれます。

今月の内容は、下記のとおりです。

1.カスハラ・就活セクハラ対策を盛り込む法改正が行われます
2.新たな就職氷河期世代等支援プログラム(案)が決定しました~2025年度および2026年度以降の取組み
3.中小企業の正社員平均賃上げ率4.03% 実施しない企業もあり二極化傾向に~日本商工会議所・東京商工会議所の調査より
4.7月の税務と労務の手続提出期限[提出先・納付先]
5.事務所よりひとこと
6月4日、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律が参議院本会議で可決・成立しました。

一部を除き、公布の日から起算して1年6月以内の政令で定める日に施行されます。
ハラスメント対策の強化【労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法】
1.カスタマーハラスメントを防止するため、事業主に雇用管理上必要な措置を義務付け、国が指針を示すとともに、カスタマーハラスメントに起因する問題に関する国、事業主、労働者及び顧客等の責務を明確化します。

2.求職者等に対するセクシュアルハラスメントを防止するため、事業主に雇用管理上必要な措置を義務付け、国が指針を示すとともに、求職者等に対するセクシュアルハラスメントに起因する問題に関する国、事業主及び労働者の責務を明確化します。

3.職場におけるハラスメントを行ってはならないことについて国民の規範意識を醸成するために、啓発活動を行う国の責務を定めます。
女性活躍の推進【女性活躍推進法】
1.男女間賃金差異及び女性管理職比率の情報公表を、常時雇用する労働者の数が101人以上の一般事業主及び特定事業主に義務付けます。

2.女性活躍推進法の有効期限を令和18年3月31日まで、10年間延長します。

3.女性の職業生活における活躍の推進に当たっては、女性の健康上の特性に配慮して行われるべき旨を、基本原則において明確化します。

4.政府が策定する女性活躍の推進に関する基本方針の記載事項の一つに、ハラスメント対策を位置付けます。

5.女性活躍の推進に関する取組が特に優良な事業主に対する特例認定制度(プラチナえるぼし)の認定要件に、求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止に係る措置の内容を公表していることを追加します。

6.特定事業主行動計画に係る手続の効率化を図ります。
治療と仕事の両立支援の推進【労働施策総合推進法】
事業主に対し、職場における治療と就業の両立を促進するため必要な措置を講じる努力義務を課すとともに、当該措置の適切・有効な実施を図るための指針の根拠規定を整備します。
【参考資料】厚生労働省「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律案の概要」
https://www.mhlw.go.jp/content/001438881.pdf
https://www.mhlw.go.jp/stf/topics/bukyoku/soumu/houritu/217.html
平成のバブル崩壊後、希望する就職ができず、不安定な職や無業状態にある人が多い「就職氷河期世代」の支援策が2019年に始まりました。

政府は「就職氷河期世代支援プログラム」を策定し、3年間の集中的支援を実施しました。

新型コロナの影響で雇用情勢が厳しくなる中、2023年から「第2ステージ」として施策の効果を検証し、支援の強化や見直しを行い、より効果的な支援を目指しています。

そんな就職氷河期世代が高齢期を迎えるにあたり、親の介護や将来の生活の安定に備えるためにも、引き続ききめ細かな支援を実施すべく、2025年度以降の新たな施策が公表されました。
これまで推進してきた
1.就労・処遇改善に向けた支援
および
2.社会参加に向けた段階的支援の継続・拡充
とともに、新たに
3.高齢期を見据えた支援
を追加し、3本柱で諸施策に取り組むことが明らかになりました。
新たな取組策として、以下が挙げられています。
1.就労・処遇改善
 ・就労受入事業者への支援として、助成金の拡充(26年度~)
 ・公務員・教員としての採用拡大(25年度~)
 ・地域企業による副業・兼業人材の活用の際の経費補助(25年度~) 等

2.社会参加に向けた段階的支援
 ・ひきこもり相談支援に取り組む自治体への支援拡大(26年度~)
 ・心理的相談を行うネットワーク構築の拡大(25年度~) 等

3.高齢期を見据えた支援
 ・70歳までの就業確保における65歳超雇用推進助成金の拡充の検討(26年度~)
 ・「居住サポート住宅」認定制度の創設・普及(25年10月~) 等
 その他、広報の強化や新たなポータルサイトを創設することが検討されています。

今後、労働力不足がますます深刻化していく中で、人手不足に悩む企業と就職氷河期世代とが、うまくマッチングできることが、問題解決につながるひとつの方策となる可能性があります。
【参考資料】内閣官房「新たな就職氷河期世代等支援プログラムの基本的な枠組み(案)について(就職氷河期世代等支援に関する関係閣僚会議)」
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/shushoku_hyogaki_shien/kankeikakuryokaigi/dai2/siryou1-2.pdf
日本商工会議所・東京商工会議所は6月4日、「中小企業の賃金改定に関する調査」集計結果を発表しました。

全国の会員企業を対象に調査したもので、2025年4月14日から5月16日にかけて行い、3,042社から回答を得ました。

定期昇給とベースアップを合わせた正社員の賃上げ率が平均で4%を超えましたが、一方で、賃上げしない企業も全体の2割に及び、二極化の傾向がみられるとしています。
2025年度に賃上げを実施した企業(予定を含む)は69.6%と、前年より4.7ポイント低下しました。

20人以下の小規模企業では57.7%で5.6ポイント低下しています。

また、現時点で「未定」との回答は23.5%で3.1ポイント上昇。価格転嫁の遅れや米国関税措置等で先行き不透明感を懸念する声もあり、昨年に比べ、「未定」の回答が増加しています。
中小企業全体の正社員の賃上げ額(月給)は、加重平均で1万1,074円と、昨年より1,412円上回りました。

賃上げ率は4.03%で、昨年対比では、0.41ポイント増加しています。

20人以下の小規模企業では、賃上げ額(月給)は加重平均9,568円、賃上げ率は3.54%で、昨年より0.20ポイントの増加です。
パート・アルバイト等の賃上げ額(時給)は46.5円、賃上げ率は4.21%で0.78ポイントの増加です。
一方、20人以下の小規模企業では、賃上げ額は37.4円、賃上げ率は3.30%で、昨年より0.58ポイントの減少となっています。

賃上げ率は全体では4%を超えるなど、中小企業も賃上げに最大限努力していますが、小規模企業は全体と比較し賃上げ額・率ともに低位となっていることから、より重点的な支援が求められます。
【参考資料】日本商工会議所・東京商工会議所「中小企業の賃金改定に関する調査」集計結果
https://www.jcci.or.jp/20250604_research.pdf
10日
 健保・厚年の報酬月額算定基礎届の提出期限[年金事務所または健保組合]<7月1日現在>
 源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]
 特例による源泉徴収税額の納付<1月~6月分>[郵便局または銀行]
 雇用保険被保険者資格取得届の提出[公共職業安定所]<前月以降に採用した労働者がいる場合>
 労働保険の今年度の概算保険料の申告と昨年度分の確定保険料の申告書の提出期限<年度更新>[労働基準監督署]
 労働保険料の納付<延納第1期分>[郵便局または銀行]

15日
 所得税予定納税額の減額承認申請<6月30日の現況>の提出[税務署]
 障害者・高齢者雇用状況報告書の提出[公共職業安定所]

31日
 所得税予定納税額の納付<第1期分>[郵便局または銀行]
 労働者死傷病報告の提出[労働基準監督署]<休業4日未満、4月~6月分>
 健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]
 健康保険印紙受払等報告書の提出[年金事務所] 
 労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出[公共職業安定所]
 外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者でない場合)<雇入れ・離職の翌月末日>[公共職業安定所]
 固定資産税・都市計画税の納付<第2期>[郵便局または銀行]
 ※都・市町村によっては異なる月の場合があります。
今年の夏も、猛暑が予測されます。
毎年のように前年の記録を更新する暑さが続いていますので、今年もこれまで以上の暑さになると考えて、熱中症対策等に取り組む必要があるでしょう。
7月の「熱中症対策集中取組み期間」では、立ち入り検査等も予想されます。
立ち入り検査への対策という後ろ向きな対応ではなく、従業員を熱中症から守るという意味においても、まだ熱中症対策の体制整備の整っていない企業におかれましては、最低限の体制整備をするところから始めましょう。

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