「事業主目線」でみる就業規則と従業員の懲罰について
ご相談者である事業主様より、従業員の懲罰について、事業主より30分の時間指定でご相談をいただいた場合のシミュレーションを示しています。

にしたくさんに相談したいのだが…
我が社は従業員5名の零細企業。
常時使用する従業員が10名未満だから就業規則などないが、問題ないよね?

常時使用する従業員が10名に満たないため、就業規則の作成・届出の義務はないので、直ちに問題とはなりませんが、社内のルールを定めていないと、様々なリスクがあることをお伝えしておきますね。

実は、この5名の社員の中で、1人がミスを連発するし、やる気を感じられないし、ルールを守らないし、さすがに我慢の限界に来たので、懲戒処分を下しても良いよね?

社長、ちょっと待ってください!
まずお聴きしたいのは「ルール」についてです。
就業規則を定めていない会社で、社長の仰る「ルール」が何かをお聴かせいただけませんか?

私の言う「ルール」とは、「私の頭の中にあるルール」のことだよ。
常識的に考えたらわかるだろう?
非常識な行動をする者にはペナルティがあって当然じゃないかね?

社長、それはまずいですよ!
会社のルールとして、就業規則類を整備して、その中に懲罰に関する規程を設けておかないと、従業員を懲罰にかけることは許されませんよ💦

にしたくさんがそのように言うのも分かるが、社長である私のルールに反することが許せないんだよ。
社員は、社長の言うことを素直に受け入れるべきじゃないか?

社長の仰りたいことを理解いたしました。
それを踏まえたうえでアドバイスさせていただきますね。
会社の社長ともなれば、会社に愛着があり、事業を発展させたい熱い想いがあるのは当然のことです。
大切なことは、その熱い想いをわかりやすく「経営理念」という形と「会社として守るべきルール」という形にして、従業員の方々に周知することが大事なことです。
まずは、会社が目指す方向とその想いを「経営理念」として掲げて、社員の方々の心を動かして、皆が同じ方向を向くようにすると良いでしょう。

経営理念を掲げることが大事なのはわかったけれど、ミスも多くてやる気のない従業員に喝を入れるのは、社長である私が決めていいんじゃないかね?

経営理念を掲げることの大切さをご理解いただき、ありがとうございます。
今回の懲戒についてコメント差し上げるならば、会社のルールが社長の頭の中で留まっていて、社員の方々に周知されていないことが問題となります。
もし、今社長が当該従業員にお仕置きをしてしまった場合、その社員の方がどのように思われるか、どのような行動をとられる可能性があるか想像がつくでしょうか?

まぁ、社長に怒られたからしょうがない…くらいにしか思わないでしょう?
怒られて、気持ちを入れ替えて頑張ってくれるようになったらそれでいいんだよ!

社長、そのお考えがよろしくないのです。
社長は「会社の顔」ですが、利益を生み出すために従業員の方々の存在は欠かせないのです。
明確に示されたルールもない状態でお仕置きをされたら、当該社員はひどく傷つくと思いますよ。
社業の発展を目指すならば、従業員の少ないうちに、社長の頭の中にあるルールを明確にしつつ、各種法令遵守の精神に沿った就業規則などを整備して、その中に懲戒その他必要最小限の事項を盛り込んで、社員の方々に周知徹底することが望ましいということをお伝えいたします。
これは、あくまでも会社と社員の間のトラブルを予防するための最低限の事である旨をお伝えしますね。
社長よりご指定いただきました30分のお時間が近づいて参りましたので、この辺りで締めたいと思います。
就業規則類の整備にお困りの際は、またいつでもお気軽にご相談ください。
よろしければ簡単なアンケートにご回答をお願いいたします
ご感想を寄せていただけますと、励みになります。
取り上げて欲しいネタなどございましたら、ご自由にお書き込みください。
コメント